あの日のこと、
今でも鮮明に覚えてる奴

老人

自由研究として昔の人の貴重な話を聞けると思ってやってきた後藤。もういい年の福徳が自身の体験した衝撃的な日のことを話始める。それは彼が道を歩いていた時のこと、なにやらミシミシと何かが軋むような音が聞こえてきたと思ったら、近くの電信柱がみるみる折れていく。そして傾き始めた柱はそのまま地面に向かって倒れ警察沙汰になったそう。これが昨日の話。昨日かい!もっと古い話じゃないんかい!もうお袋の顔も幼き日の街並みも何も思い出せない。わしも歳をとった。

老人